カーボンニュートラルに取り組むFIA、持続可能な燃料をF1で採用し、2030年にはネットゼロへ

レーススタート【サヒールGP/サヒール、2020年12月6日(Mercedes-AMG Petronas Formula One Team)】


17日(木)、FIAが年次総会を開き、2030年までにネットゼロに向かう過程で2021年にカーボンニュートラルにするという意欲的な環境戦略計画を承認した。これを受けてFIAは声明を出し、目標に向けた活動の概要について説明している。

パリ協定が第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されてから5年、国連事務総長のアントニオ・グテーレスが各国の首脳に気候の非常事態宣言を出すよう呼びかける中、FIAと世界のモータースポーツおよびモビリティ連合は環境への取り組みにおいて新たな一歩を踏み出した。

FIAはすでにF1にハイブリッドパワーユニットを導入し、2014年にはフォーミュラEのカテゴリをつくり、2017年にメキシコのフェリペ・カルデロン元大統領が議長を務める専門の環境・持続可能性委員会を設立、2019年には気候変動枠組条約(UNFCC)に参加している。

承認された計画はパリ協定の1.5度目標に沿って、科学的に裏付けされた削減計画に基づいており、この前進を加速させるための明確な目標を設定することにより、モータースポーツとモビリティが環境へ与える影響を減らそうとするFIAの精力的な取り組みを強化するものとなる。

FIAはメンバーズクラブやチャンピオンシップと協力して、2つの柱にまたがって環境の持続可能性の開発および改善に取り組み、カーボンニュートラルを目指すための動きを支援する。146カ国に243のメンバーズクラブと303のチャンピオンシップがあり、この取り組みの影響は世界的なものとなる。以下の3つの戦略的分野を通じて、カーボンエミッションの大幅な削減と広範な環境への影響が達成されるはずだ。

・気候変動対策:排出ゼロに向けた変化の加速
・テクノロジーとイノベーション:持続可能で革新的なソリューションの振興
・持続可能な行い:持続可能な変化を推進

この目標を達成するための最も重要なステップの1つは、厳格なF1仕様に合わせて開発され、F1マシンに動力を供給できる100%持続可能な燃料の研究、開発、および生産がFIAの技術部門によって行われることだ。第2世代のバイオ燃料(人間や動物が消費することを目的としたものではなく、バイオ廃棄物を使用して精製される)の最初のバレルが現在、テストと検証のため、F1のパワーユニットメーカーたちの元に届けられた。目的は、テクノロジーが機能することを実証し、F1サプライヤーが独自の燃料を開発するように導くことであり、新しいパワートレイン構造が導入されるまでに、F1では100%持続可能な燃料を使用することが義務付けられることになる。2021年から、欧州トラックレーシング選手権などの他のFIA選手権でも、持続可能な燃料を使用できるようになる。

総会に参加した4人がそれぞれコメントを発表した。

ジャン・トッド(FIA会長)

「FIAは、モータースポーツとモビリティを低炭素の未来に導き、われわれの活動による環境への影響を減らし、より環境に優しく、地球に貢献するという責任を負っている。メンバーズクラブが2つの柱による社会貢献に焦点を当てた目的主導型イニシアチブの1つである環境戦略を承認してくれてうれしく思う。バイオ廃棄物から作られたF1動力用の持続可能な燃料を開発することにより、われわれは新たな一歩を踏み出した。世界をリードするエネルギー企業のサポートにより、われわれは最高の技術性能と環境性能を組み合わせることができる」

ロス・ブラウン(F1モータースポーツ部門マネジングディレクター)

「F1は、自動車業界に次世代の進歩をもたらすためのプラットフォームとして長い間役立ってきた。2030年までにこのスポーツをネットゼロにするという目標に適した持続可能な燃料に弾みがついたことに喜びを感じている。われわれの持続可能性の最優先事項は、排出量を削減し、現実世界のロードカーに利益をもたらすハイブリッドエンジンのロードマップを構築することだ。ハイブリッド技術と持続可能な燃料を組み合わせた次世代エンジンでそれを実現する機会があると信じている」

フェリペ・カルデロン(FIA環境・持続可能性委員会委員長)

「年次総会で承認された環境戦略は、低炭素の未来へのFIAの取り組みを強化する上で重要だ。2021年にカーボンニュートラル、2030年までにネットゼロを達成するために、自分たちの活動から生じる排出量を測定、削減、相殺、除去するための幅広い組織的取り組みを行うだけでなく、FIAは他のスポーツ連盟の中でもリーダーシップを取り、地球規模の気候変動対策を推進していく。この新しい戦略は、メンバーがより持続可能となり、自ら気候変動対策のリーダーシップを作り上げることができるような全体的な枠組みを提供する」

マリー・サロワ・デンブルビル(IOC企業および持続可能な開発部門ディレクター)

「FIAの年次総会に参加できたことをうれしく思います。IOCは、気候変動と戦うために行動する主要スポーツ連盟の仲間入りをしたFIAを心から祝福します。カーボンニュートラルとネットゼロへのFIAの大胆な取り組みは、彼らのチャンピオンシップの性質を考えれば特に重要なことですし、今後10年間で重要なプラスの変化を遂げようという意欲の明確な表れだと思います」

【K】