リスタートの危険性に注意喚起したスチュワード【トスカーナGP:ペナルティ】

レーススタート【トスカーナGP/ムジェロ、2020年9月13日(Pirelli)】


シーズン第9戦トスカーナGPではスチュワードによってレース再開時の危険性が改めて強調されている。

リタイアが続出する波乱の展開となったこのレースの序盤、オープニングラップで起こったインシデントを受けて出動したセーフティカーが戻ってレースが再開される際に多重クラッシュが発生した。スチュワードは12名のドライバーに警告処分を科してリスタート時の危険性について注意を喚起するとともに、このクラッシュが回避可能なものであったことも指摘している。

一方、きっかけとなったレース開始時のインシデントに関してはキミ・ライコネン(アルファロメオ・レーシング)とピエール・ガスリー(アルファ・タウリ)、ロマン・グロージャン(ハースF1)が競り合ったところに居合わせたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が「3台のマシンの“犠牲者”だった」とスチュワードは判断しており、フェルスタッペンを含むいずれのドライバーもおとがめなしとなっている。

また、レーシング・ポイント勢のリアブレーキダクトについては第3戦ハンガリーGP以降の各レースで戒告処分が言い渡されてきたが、上訴が撤回されたのを受けて当初に科されたペナルティで確定として、トスカーナの週末で改めてペナルティが科されることはなかった。

その他を含め、トスカーナGPの週末を通してスチュワードが審議し、何らかの処分を下したインシデントおよびペナルティの詳細は以下の通り。

トスカーナGP初日:9月11日(金)

【金曜フリー走行1回目】

◆ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)
違反内容:ピットレーンを時速87.4kmで走行、FIA F1スポーティングレギュレーション第22条10項に違反
裁定:ウィリアムズに罰金800ユーロ(約10万円)
裁定理由:カーナンバー6(ラティフィ)が本イベントにおいて時速80kmと定められているピットレーンの速度制限を時速7.4km超過したため。

【金曜フリー走行2回目】

◆セルジオ・ぺレス(レーシング・ポイント)
違反内容:ターン1でカーナンバー7(キミ・ライコネン/アルファロメオ・レーシング)と接触、FIA国際スポーティングコード附則L第4章第2条(d)に違反
裁定:1グリッド降格、およびペナルティポイント1点(12カ月有効)
裁定理由:スチュワードはカーナンバー11のドライバー(ペレス)とチーム代表者から事情を聴取し、映像証拠と無線交信の記録を確認した。カーナンバー11のドライバーはピット出口を離れる際、チームによってカーナンバー7とカーナンバー23(アレックス・アルボン/レッドブル)の接近について警告を受けていた。ターン1の前で彼には青旗が振られており、カーナンバー7がミラーに見えていたと思われる。当該ドライバーはピット出口がきわめて長く、カーナンバー7をパスした際には高速に達しており、このコーナーに対して別のアプローチをとることは不可能だったと述べている。

ペナルティを決定するにあたり、スチュワードはBOT(バルテリ・ボッタス/メルセデス、2019年アブダビGP:戒告)やVET(セバスチャン・ベッテル/フェラーリ、2015年バーレーンGP:おとがめなし)の件を含め、フリー走行で発生した同様のインシデントを考慮した。われわれはペナルティを軽減する利点はあると見なし、このタイプの違反に対する通常のペナルティである3グリッド降格を1グリッドとする一方、カーナンバー11はカーナンバー7がアタックラップ中にピットを出たことからカーナンバー11のドライバーに全面的なグリッドペナルティが適切であることを記す。

ペレスの累積ペナルティポイント:2ポイント(2020年9月11日時点)

トスカーナGP2日目:9月12日(土)

(土曜フリー走行および予選はペナルティなし)

トスカーナGP決勝:9月13日(日)

◆カーナンバー11とカーナンバー18のブレーキダクトアセンブリ
2020年トスカーナGPの予選セッションで使用されたBWTレーシング・ポイントF1チームのカーナンバー11とカーナンバー18のリアブレーキダクトアセンブリはシュタイアーマルク、ハンガリー、イギリス、F1 70周年記念、スペイン、ベルギー、およびイタリアの各グランプリで使用されたものと同じである可能性が高い。2台ともパルクフェルメ状態に置かれているため、2020年トスカーナGP決勝でも同一のブレーキダクトアセンブリが使用される見込みである。

【決勝】

◆キミ・ライコネン(アルファロメオ・レーシング)
違反内容:レースディレクターの指示書第19条2項に反し、ピットレーンの白線の右側を走行せず、FIA国際スポーティングコード第12条1項1(i)に違反
裁定:5秒のタイムペナルティ、およびペナルティポイント1点(12カ月有効)
裁定理由:スチュワードは複数の角度からの証拠映像を確認した。カーナンバー7(ライコネン)は右側を維持せず、ピットエントリーの白線を踏んでいる。

ライコネンの累積ペナルティポイント:4ポイント(2020年9月6日時点)

◆レースリスタート
レースディレクターから報告を受けたスチュワードはカーナンバー20、26、6のドライバーおよびチーム代表者を招集して事情を聴取し、下記事項を検討した上で次のように決定する。
違反内容:レースリスタート時のインシデント、FIA F1スポーティングレギュレーション第39条13項に違反
裁定: 下記ドライバーへの警告[カーナンバー. ドライバー(コンペティター)]
20. ケビン・マグヌッセン(ハースF1)
6. ニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)
23. アレックス・アルボン(レッドブル)
18. ランス・ストロール(レーシング・ポイント)
3. ダニエル・リカルド(ルノー)
11. セルジオ・ぺレス(レーシング・ポイント)
4. ランド・ノリス(マクラーレン)
31. エステバン・オコン(ルノー)
63. ジョージ・ラッセル(ウィリアムズ)
99. アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)
55. カルロス・サインツ(マクラーレン)
裁定理由:スチュワードはカーナンバー10(ケビン・マグヌッセン)、カーナンバー6(ニコラス・ラティフィ)、カーナンバー26(ダニール・クビアト)のドライバーとチーム代表者らから事情を聴取し、車載カメラを含む証拠映像を確認するとともに、リスタートにかかわった各マシンのテレメトリーを調査した。このインシデントの根本的な原因は、上記ドライバーたちによる最終コーナーからピットストレートにかけての一貫性のない加減速にあったとスチュワードは結論づける。

スチュワードはこのサーキットのコントロールラインの位置がチャレンジをもたらすこと、またドライバーたちがリスタートでアドバンテージを得ようとすることを認識している。

しかしながら、このインシデントはリスタートの状況には十分な注意が必要であることを示すものであり、集団の後方へ行くに従って、極度のアコーディオン効果が劇的に加速したことを注記する必要があることを示している。同時に、何人かのドライバーは前のマシンの真後ろを走行していなければ、インシデントに巻き込まれることを避けられた可能性があることも注記しておきたい。彼らはそうすることによって、前のマシンの直前で起きている出来事を全て視界から遮ってしまった。

誰か1人のドライバーに全てあるいは大部分の責任があるとはいえないというのがスチュワードの見解であり、警告処分とした。加えて、上記以外でリスタートに関わった77番のマシン(バルテリ・ボッタス)と他のドライバーたちは、レギュレーションに従っていたことも記録されている。77番はレギュレーションの下でペースを決定する権利があった。

◆カーナンバー11とカーナンバー18(レーシング・ポイント)のリアブレーキダクト
違反内容:カーナンバー18ならびにカーナンバー11のリアブレーキダクトの類似性、2020年FIA F1スポーティングレギュレーション附則6に違反
裁定:本レースにおいてはペナルティなし
裁定理由:スチュワードは技術委員にBWTレーシング・ポイントF1チームのカーナンバー18とカーナンバー11のブレーキダクトを調査するよう指示した。技術委員の報告は両マシンのブレーキダクトが過去7回のグランプリで使用されたものとおそらく同じだと結論づけている。レーシング・ポイントの代表者は書面でこれらのブレーキダクトが過去7戦で使用されたのと同じ設計によるものだと認めた。したがって、本件における状況は過去7戦と同一である。

ルノーDPワールドF1チームがBWTレーシング・ポイントF1チームのマシンに対して申し立てた抗議について審問すべく、それ以前の3戦のスチュワードを任命した機関によって2020年8月5日(水)にスチュワードの特別パネルが形成された。

スチュワードは特別パネルの裁定、およびF1 70周年記念GPとスペインGP、ベルギーGPのスチュワードの裁定に留意している。2020年トスカーナGPのスチュワードは、スチュワードによるレギュレーションの解釈が道理にかなって一定していることがスポーツの秩序ある実施にとって重要だとするこれまでのイベントのスチュワードの考えに配慮する。2020年トスカーナGPのスチュワードは全体としてその考え方と、可能な場合はペナルティには一貫性が保たれるべきとの見方を支持する。

さらに、本件はFIA国際控訴審判所へ上訴されており、審判所が“新たに”この件について聴聞を行う。しかしながら、われわれはこの上訴が取り下げられたと知らされており、したがって、これらの上訴の対象となっていたすべてのスチュワードの裁定、およびペナルティに変更はない。よって、スチュワードはシュタイアーマルクGP、ハンガリーGP、イギリスGPに関連した特別パネルの裁定に沿い、彼らが発見した事実、裁定理由、ペナルティ選択の背景にある理由を参照することによってここに包含する。

今回の裁定は総体として特別パネルの裁定と一貫するものとして受け取られ、同じ結論を出さなければならない。スチュワードはBWTレーシング・ポイントF1チームが2020年FIA F1スポーティングレギュレーション附則6に違反していると見なす。上記で一貫性について触れている一方で、ペナルティに関しては当初の裁定(撤回された上訴の対象となっていた裁定)が確定したことを踏まえ、われわれは本件の違反に関して今回のイベントでペナルティを科すことに重要性や価値はないと考える。

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