クラッシュ、燃料、Tシャツ・・・夏休み前に大波乱【ハンガリーGP:ペナルティ】

レッドブルのセルジオ・ペレス【ハンガリーGP/ハンガロリンク、2021年8月1日(Getty Images / Red Bull Content Pool)】


シーズン第11戦ハンガリーGPではスタート直後に大きなインシデントを引き起こしたドライバーたちに厳しいペナルティが科されたほか、2位でゴールしたセバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)が燃料サンプルの採取ができなかったために失格とされている。

ウエットコンディションで決勝が始まった直後、ターン1で複数のマシンが巻き込まれるクラッシュが発生した。スチュワードはメルセデスのバルテリ・ボッタスとアストンマーティンのランス・ストロールが回避可能だったクラッシュを引き起こしたと裁定し、2人に次戦での5グリッド降格とペナルティポイント2点を言い渡している。

ボッタスはブレーキングに失敗してランド・ノリス(マクラーレン)に突っ込み、ノリスはその衝撃でレッドブルのマックス・フェルスタッペンと接触。フェルスタッペンの僚友であるセルジオ・ぺレスも勢い余ったボッタスにぶつけられており、ノリスとぺレスはリタイア。フェルスタッペンも大ダメージを負ったマシンでレースすることを強いられた。

ストロールがシャルル・ルクレール(フェラーリ)の側面に衝突した事故ではマクラーレンのダニエル・リカルドも巻き添えを食っている。

一方、波乱の決勝を2位で終えたベッテルは規定にある1リットルの燃料サンプルを採取できなかったために失格とされた。チームはペナルティが発令された後に上訴の意向を深刻しており、マシンは上訴があった場合に備えてFIAによって封印されている。

また、レース前には珍しい違反があった。ボッタス、ストロール・ベッテル、カルロス・サインツ(フェラーリ)の4名のドライバーが、国歌演奏時にWRAO(We Race as One)のメッセージが描かれたTシャツを脱がなかったのだ(ベッテルが着用していたのはWRAOではなく、プライドカラーのTシャツ)。

昨年に人種間の平等を求める運動が広まった際、F1からもルイス・ハミルトン(メルセデス)が先頭に立って全世界に向けてメッセージが発されてきた。それを受け、レース前の手順の指示書では「ドライバーたちは自身がそうすることを選択した場合、GPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)が支給するWRAO Tシャツ、もしくは、WeRaceAsOneの価値観を支持するメッセージを描いた衣服を身に着けることができる。この衣服については、各ドライバーの所属チームが承認していなければならない」とされている。

今回問題になったのは、その後は「ドライバーたちは国歌演奏に際してTシャツを脱ぎ、レーススーツを着用してそれぞれのネームカードのあるポジションに移動する」と規定されている点だ。これに違反した4名にはドライビング以外の問題に対する戒告処分が科された。

その他を含め、ハンガリーGPの週末を通してスチュワードが審議し、何らかの処分を下したインシデントおよびペナルティの詳細は以下の通り。

ハンガリーGP初日:7月30日(金)

(金曜フリー走行1回目と2回目はペナルティなし)

ハンガリーGP2日目:7月31日(土)

【土曜フリー走行】

◆ターン11のコース逸脱によるタイム抹消
違反内容:ターン11でコースを逸脱、FIA国際スポーティングコード附則L第4章2項(c)ならびに第12条2項1号(i)、およびレースディレクターの指示書第21条に違反
裁定:FIA国際スポーティングコード第12条4項1号eおよびFIA F1スポーティングレギュレーション第31条4項に基づくタイム抹消

[違反時間 カーナンバー. ドライバー(コンペティター)/抹消タイム]

12時55分13秒 99. アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)/1分19秒784
13時00分25秒  7. キミ・ライコネン(アルファロメオ・レーシング)/1分28秒894

裁定理由:スチュワードは映像を確認し、レースディレクターからタイミングインフォメーションを受け取った。上記マシンはコースを逸脱した。このペナルティはレースディレクターの指示書第21条(第12条2項1号[i]参照)、およびFIA国際スポーティングコード第12条4項1号eに基づいて適用されている。

◆アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)
違反内容:安全性に欠けるリリース、FIA F1スポーティングレギュレーション第28条2項13(a)に違反
裁定:アルファロメオ・レーシングに罰金5,000ユーロ(約65万円)
裁定理由:スチュワードは証拠映像を確認し、カーナンバー99のドライバー(ジョビナッツィ)およびチームの代表者から事情を聴取した。カーナンバー99はカーナンバー18(ランス・ストロール/ウィリアムズ)がファストレーンを走行中にガレージを離れた。結果として2台が接触し、カーナンバー99のフロントウイングがダメージを負った。カーナンバー99のチームは自分たちの過ちであることを認めている。

◆アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)
違反内容:カーナンバー10の走行を妨害、FIA F1スポーティングレギュレーション第31条5項に違反
裁定:戒告(ドライビング/今季1回目)
裁定理由:スチュワードはカーナンバー99のドライバー(ジョビナッツィ)、カーナンバー10のドライバー(ピエール・ガスリー/アルファタウリ)、および各チームの代表者らから話を聞き、証拠映像を確認した。FP3(土曜フリー走行)でGASがクイックラップを行っていた際、GIOはアウトラップだったにも関わらず、ターン13の出口においてGASの前でスロー走行した。GIOはチームから警告を受けておらず、ヒアリングにおいてGASの走行を妨害したことを認めている。両ドライバーはこれがフリー走行内で許容されないとのスチュワードの見解に同意した。

【予選】

◆ミック・シューマッハ(ハースF1)
違反内容::ギアボックス交換、FIA F1スポーティングレギュレーション第23条4項(a)に違反
裁定:5グリッド降格
裁定理由:カーナンバー47(シューマッハ)のギアボックスが6戦連続の使用期間が経過する前に変更されたため。

ハンガリーGP決勝:8月1日(日)

【決勝】

◆アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ・レーシング)
違反内容:ピットレーンを時速105.6㎞で走行、FIA F1スポーティングレギュレーション第22条10項に違反
裁定:10秒のストップ・アンド・ゴーペナルティ
裁定理由:カーナンバー99(ジョビナッツィ)が本イベントにおいて時速80kmと定められているピットレーンの速度制限を時速25.6㎞超過したため。

◆バルテリ・ボッタス(メルセデス)
違反内容:ターン1で回避可能な接触を引き起こす、FIA国際スポーティングコード附則L第4章2項(d)に違反
裁定:当該ドライバーの次戦での5グリッド降格、およびペナルティポイント2点(12カ月有効)
裁定理由:スチュワードは映像を確認した。スタート直後、ターン1のブレーキングゾーンでカーナンバー77(ボッタス)はカーナンバー4(ランド・ノリス/マクラーレン)のマシンリア部分に衝突した。路面コンディションを考慮に入れても、衝突についてはカーナンバー77に全面的な非があると判断した。

ボッタスの累積ペナルティポイント:4ポイント(2021年8月1日時点)

◆ランス・ストロール(アストンマーティン)
違反内容:ターン1で回避可能な接触を引き起こす、FIA国際スポーティングコード附則L第4章2項(d)に違反
裁定:当該ドライバーの次戦での5グリッド降格、およびペナルティポイント2点(12カ月有効)
裁定理由:スチュワードは映像を確認した。スタート直後、ターン1のブレーキングゾーンでカーナンバー18(ストロール)はカーナンバー16(シャルル・ルクレール/フェラーリ)のマシンリア部分に衝突した。路面コンディションを考慮に入れても、衝突についてはカーナンバー18に全面的な非があると判断した。

ストロールの累積ペナルティポイント:6ポイント(2021年8月1日時点)

◆キミ・ライコネン(アルファロメオ・レーシング)
違反内容:安全性に欠けるリリース、FIA F1スポーティングレギュレーション第28条2項13(a)に違反
裁定:10秒のタイムペナルティ
裁定理由:スチュワードは証拠映像を確認した。チームはレース中のピットストップの後に当該マシンをリリースした。自身のピットストップポジションを離れる際、RAIはファストレーンを走行中のMAZ(ニキータ・マゼピン/ハースF1)と接触している。

◆バルテリ・ボッタス(メルセデス)、ランス・ストロール、セバスチャン・ベッテル(共にアストンマーティン)、カルロス・サインツ(フェラーリ)
違反内容:レースディレクターの指示に従わず、FIA国際スポーティングコード第12条2項1号(i)に違反
裁定:戒告(非ドライビング)
裁定理由:スチュワードは当該ドライバーとチーム代表者から事情を聴取した。ドライバーは雨が降り始めたために国歌演奏の開始までにWRAO(We Race as One/ウィー・レース・アズ・ワン)Tシャツを脱ぐのを忘れたと説明している。

◆エステバン・オコン(アルピーヌ)
違反内容:レースディレクターの指示に従わず、FIA国際スポーティングコード第12条2項1号(i)に違反
裁定:戒告(非ドライビング)
裁定理由:スチュワードはカーナンバー31のドライバー(オコン)とチーム代表者から事情を聴取した。レースディレクターの指示書にあるレース後の手順(ドキュメント38)ではトップ3のポジションでレースを終えたドライバーはピットレーンに戻り、レースコントロール棟の前に設置された自分の順位を示したボードの前に停車するよう義務づけている。

OCOはヒアリングにおいてピットレーン入り口を逃し、ピットレーン出口に近いところが停車するのに最適な位置だと判断したと説明している。彼は謝罪し、次回はより慎重になると確認している。スチュワードはこの件をパルクフェルメレギュレーションの違反とは評価していない。しかしながら、OCOはレースディレクターの指示に話しており、上記のペナルティが適切である。

◆セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)
違反内容:1.0リットルのサンプルを採取不能、FIA F1テクニカルレギュレーション第6条6項2に違反
裁定:レース結果からの失格(FIA国際スポーティングコード第2条4項1号(m)による)
裁定理由:スチュワードはチームの代表者から話を聞いた。レース後、カーナンバー5からは1.0リットルの燃料のサンプルを採取することができなかった。チームには数回にわたり、タンクから必要な量の燃料を取り出すための機会が与えられたが、0.3リットルしか取り出すことはできなかった。

FIAの技術代表およびFIA技術ディレクターの前で行われたヒアリングで、アストンマーティンのチーム代表はタンクには1.44リットルが残っているはずだと主張したが、彼らはそれを取り出すことができなかった。この数値はFFMまたはインジェクターモデルを用いて計算されるものである。
この状況を受けて、カーナンバー5はFIAテクニカルレギュレーションの第6条6項の必要条件を満たしていないと判断される。第6条6項2号により、“競技参加者は、競技会期間中常に車両から1.0リットルの燃料サンプルを抽出できる状態を確保しなければならない”と定められている。この手順は守られたが、1.0リッターの燃料サンプルを抽出することはできなかった。
よってスチュワードは、技術的違反に対する標準的ペナルティを適用することを決めた。

◆上訴の意思表明
スチュワードはアストンマーティン・コグニザントF1チーム(“アストン・マーティン”)からスチュワードの裁定No.59に対する上訴の意思表明を(現地時間)2021年8月1日22時14分に受け取った。

この文脈において、FIA技術部門の代表者はスチュワードから上訴の通知が受領される、もしくはFIA国際上訴院によってこれに関連する何らかの決定があるまで、カーナンバー5を封印し、差し押さえるよう要請された。

この決断を下すにあたり、アストンマーティンはカーナンバー5のFIA施設への安全な輸送のためにさまざまなコンポーネントを外すことが証拠を損なわず、上訴されている件に影響を与えないことをここに宣言する。

アストンマーティン・コグニザントF1チーム
オットマー・サフナウアー(チーム代表)

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